トップとしての平常心とその言葉の影響力

COLUMN /

blog ひと言 No.26

■自分自身の感情をコントロールすること

経営者や経営層として仕事をしていると、“平常心を保つ”のに苦労する、そんな局面に立つこともあるはずです。どんな状況でもいつでも冷静な対応ができるーーそれが理想であることは重々わかってはいるけども、誰でもそうはいかなかった経験の1つや2つ、過去にありませんか?

 「言わなければよかったーー」

 「感情的になってしまったーー」

 「あの対応は冷静さを欠いていたーー」

 誰でも感情の起伏があって、その日やタイミングによってアップダウンがあるのも人間ならば当然です。ですが、人の上に立つ立場であれば、当然ながら自分の感情をコントロールする必要性があり、企業トップであれば必須ともいえます。

 最近、“マインドフルネス ~mindfulness~”が注目されていますが、ストレスが多い現代社会、いかに自分の感情をうまくコントロールできるかも重要なビジネススキルの一つ。実際に周りの経営者層と話すと、瞑想やYoga、ラニングなどを日常に取り入れている方が非常に多いことを実感します。

 逆に、「しまった!と思う経験なんてない」と言い切る方は、ご本人が気づいていないだけで、周りに相当なストレスをかけてはいませんか? 例えば、自分が言いたいことばかり言っていて、人の話を聞かないーー。「まったく人の話を聞かないのだから・・・」という部下の方のつぶやきが、ため息となって出ていることはないでしょうか。

 対外的には相当気をつかっていても、やはり社内では安心感から気を抜いてしまうものです。会社的には大きな問題にはならなくても、対個人として、その時言ったひと言が、相手の心には後々まで残ってしまうこともあります。

■それまでの気づかいが「無」になるひと言

 今の時代、人の上に立つ立場の方は、表立ってワンマンだと感じさせる方は少ないように感じます。その一方で、一見、穏やかに見えて、実はワンマンである、という人が多いのかもしれません。こうした方は、本来の自分の感情を抑えているので、少なからずストレスがたまる。平常時は穏やかでいられるけれど、何かのタイミングでタガがはずれると、不用意な言葉、思いがけないひと言となって出てしまうのです。それまでの気づかいが、ここで「無」になることも、なきにしもあらず、です。

 それほど言葉には力がある

 さらに社長の言葉は、良くも悪く後々まで残る。

 私自身の会社員時代を振り返っても、確かに社長から言葉をかけられると、なんだかんだ言いながらも、うれしいという感情があったことは間違いありません。それが業務上のことはもちろん、仕事以外の話しであっても、気にかけたこと自体をうれしく感じるのです。ご自身の何気ないひと言が、相手にはそんな重みがあることを実感していますか? 

 社長として、社員とのコミュニケーションのとり方が上手いと感じる方にはある程度の共通点があります。敢えて言うならば、近すぎず遠すぎない相手との絶妙な距離感、時として距離を超えた踏み込み度合いのうまさ、なのです。

 最近のニュースでは、「言った」「言わない」、都合の悪いことはなかったことしてしまう、セクハラにパワハラetc・・・・・・どれもこれも問題のカギは「言葉」。それに加えて、アカデミー賞最有力作『ウィンストン・チャーチル~ヒトラーから世界を救った男~』を昨夜見て、リーダーの「言葉」の力を改めて痛感しました。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。