毎日の服装選びがトップのパフォーマンスを低下させる?

COLUMN /

blog ひと言 No.15

■“同じ服”と“同じような服”の大きな違い

 「〇〇さん、いつも同じ服を着ていますねーー」

と言われたら、これは褒め言葉とは思えませんよね?その相手に対して、ネガティブな感情をもつのが一般的ではないでしょうか。ところが、ビジネスでのトップの決断力として考えた場合、誉め言葉とは言えないまでも、ネガティブと言い切れない意味も含んでいます。

 「いつも同じ服を着ている」と言われると、あまり服をもっていない、外見への気づかいがない、と単純に思いがちです。本当に全く同じスーツやシャツを着たきりスズメという方は、確かにその通りではあります。しかし、そんな人は稀であり、実際は「同じように見える服」を、いつも着ている方は意外にも多くいます。そして、こうした方こそ、人並み外れて服装へ配慮していたり、トップとしての考え方の表れであったりもしています。

 「同じ服」と「同じように見える服」は、似ているようで大きく違うものなのです。
あるパフォーマンスについての本を読んでいて、フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグに関する話しがありました。

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 ~実際は、仕事の生産性とパフォーマンスを追求した結果、服装のバリエーションが少なくなったのである。 

「どうしてあなたは毎日同じTシャツを着ているのですか?」という質問に対し、
「ぼくは社会に貢献することを最優先しており、その他の意思決定を極力減らすために、生活をシンプルにしたいんです」と答え、「同じシャツを何枚も持っていますよ」と打ち明けた。


(『PEAK PERFORMANCE』ブラッド・スタイルバーグ/スティーブ・アグネス<ダイヤモンド社>より)
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■バラエティに富んだものより確実に似合う少数が実用的

 毎日、着るものを選ぶといった小さな決断でも、それを繰り返すことで決断力を消耗する。そのため、生活に関する小さな決断を切り捨てたため、彼の日常的な服装はグレーのTシャツとブルージーンズになったとのことです。ザッカーバーグの場合は、極めてカジュアルですが、同じ服と言われながらも、実際は同じような服であって、同じものを着ているわけではありません。さまざまな画像を見比べてみるとわかりますが、同じグレーの丸首のTシャツであっても、グレーの色のトーンは微妙に違っています。実際に日本のトップの方でも、いつも紺の水玉のネクタイをしている方がいましたが、実際には同じような柄を何本も持っていて、それを使い分けていたという例もありました。

 毎日、仕事に来ていく服選びを楽しみながらできる方もいるでしょう、または、仕事の一つとして義務的にやっている方もいるでしょう。毎日のルーティンとしてできているならば問題ありませんが、毎日、負担に感じている方は、この小さな決断事項を切り捨てることも、仕事上の大きな決断に迷いを生じさせないためにはいいのかもしれません。

 切り捨てるとは言っても、現実的にはみんながみんなザッカーバーグのようにはいきません。Tシャツとジーパンをスーツとネクタイに置き換えて、自社トップとしてふさわしいもの、似合うものをはっきりさせることが第一です。色も柄もバリエーションに富む必要はないのです。さまざまなバラエティーに富んだスーツとネクタイを何十着も持っているよりも、確実に合う似たようなものが2、3着あるほうがずっと実用的ということです。

 ザッカーバーグはちょっと極端ではありますが、必要となれば日常の小さな決定事項を切り捨てることは、トップの印象マネジメントとして、戦略的な一つの考え方であるともいえます。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。