間違ってはいけない!企業としての「服育」

COLUMN /

blog ひと言 No.17■服装(装い)の感性を育てていくという意味?

「“服育”っていうのも、あるんですね?」

 最近、銀座にある公立小学校の制服が高級ブランド・アルマーニになる、という話題がニュースになりました。そのなかで一流ブランドを制服に採用する理由の一つとして、「服育」という言葉が使われていました。耳慣れない言葉ですが、食育と同じように、服装(装い)の感性を育てていくという意味で使っているようでした。 

 ここで言う「服育」が洋服に限定したものでなく、服装の良し悪しをふまえた装い全般の広い意味合いがあるのであれば、必要な知識と言えるでしょう。しかし、「脱いだら椅子にかけておきましょう」「きちんとたたんでおきましょう」という生活規範であれば、当然ながら高級ブランドである必要はありません。学校独自のブランド力を活かすための方策が、高級ブランドばかりが独り歩きしてしまう、ブランドの“強さ”と“怖さ”を改めて知るニュースでもありました。

 「服育」に話しを戻しますが、一般的な服装(装い)の知識を身に着ける、これはもちろん成長過程で必要なことで、ご家庭と教育の場で、最低限の良し悪しは判断できるようになるのが理想的です。

 では、この「服育」、実際に企業としては必要なのかーー?

 と問われると・・・・・・答えは「YES」

 でも、間違ってはいけません。「きちんとした服装をする」「社会人としてふさわしい装いをする」「身だしなみを整える」というレベルは、本来であれば、入社前、百歩譲って新入社員研修で完了すべきことであり「服育」とはいえません。必要なのは、そこから先であって、自社独自の「服育」なのです。

 仕事服といっても、スーツを着ている職場ばかりでなく、カジュアルな服装もあれば、普段は、制服や作業着、という職場もあるはずです。そのときに、自社の業界・職種、顧客層を考えると、スーツ一つを例にしても、望ましい、望ましくないものが出てきます。カジュアルであれば、ビジネスでの許容範囲はどこまでか、同じ制服であっても社員の着方によって出る違いもあるでしょう。個人の感覚やセンスに任せるのではなく、企業としてのある程度の指針が必要になり、その指針に沿うための「服育」となります。

 御社には、「服装規定」はありますか?

■企業としての「服育」はプラス5にも10にもなる

 いろいろな企業様とお仕事をするときに、服装規定を確認することがあります。企業規模を問わず、明確な「服装規定」をもっている企業は多くありません。ここ数年は、クールビズが一般化したことから、クールビズの採用がそのまま服装規定になると思っている担当者も多いようですが、クールビズの採用は1年の一時期の服装の目安になっているだけにすぎません。

 逆に「服装規定があります」という企業も、規定内容を見せてもらうと、「きちんとした服装」「その場に応じた服装」といった表現が並んでいて、読んでいて具体的にわかるのかと疑問も感じることも少なくありません。これでは「服装規定」とはいえません。実際、気になっていることがあっても、注意することができない状況。見て見ぬふりをしている上司が多いのも気になるところです。

 再び「服育」に話を戻しますが、マイナスのレベルの社員を「0」に引き上げるのではなく、「0」の社員をプラス5にも、10にも引き上げるのが、企業としての「服育」です。  

 いつまでも新入社員教育の内容を、社員に「服育」としてやっていても、企業としての進歩はありません。ご自身の企業と社員の方のレベルを見極めて、実際にプラスいくつまでもっていくか? それを決めるのも、社長の役割の一つだということですね。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。