そこに好きなお店があってこそ、戻れる日常の日々

COLUMN /

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「休業」の貼り紙にホッとした思い

 数日前、久しぶりに下町界隈のエリアに行く機会がありました。このエリアは、老舗の名店も多いのですが、近くに来ると必ず立ち寄っていたベーグル店がありました。

 数年前のオープン以来、目立たない場所にも関わらず、人気店となり行列ができるお店でした。NY風ベーグルが好きな人にはたまらない美味しさ。東京ではこの店が一番だと、個人的には思っていました。

 ですが、コロナ禍で飲食店は大変なご時世。ベーグル専門店のこのお店が、今でもやっているのかどうかという不安と、やっていてほしいという希望を抱きつつ……ドキドキしながら近づいていきました。

 すると、入り口には、「休業」の貼り紙。「しばらくの間、休業しています。再開の際はSNSなどでお知らせします」という内容でした。

 「あ~、つぶれていなくてよかった~」というのが、正直な感想。あのベーグルの味を愛するファンの一人として、心から再開の日を待っています。あのお店大丈夫か?営業しているか?お気に入りのお店は、ずっとそこにあってほしいと思うものです。

 

こんな時期に家賃170%アップとは!

 その週末、経営者仲間とオフィス街のイタリアンレストランに行ったときのこと。デザートをシェアしたいとお願いしたところ、気遣いあるサーブをしてくれたことに一同感動。

 「また、来ますね!」という声が出たところ、店員の方から「ありがとうございます。でも、今月末で閉店なんです」との答え。みんなが「えっ?」という反応になり、返す言葉がない状況。20年間この地でがんばってきたけれども、さすがにもうダメだということ。

 さらに一同に驚いて、憤りさえ感じてしまったのが、このビルの貸主である大手不動産会社の対応についてでした。どこも大変なこの時期、それぞれの立場と状況があるとは思いますが、貸主の某大手不動産会社は、家賃を170%アップを要求してきているといいます。

 「出て行ってほしいんでしょうねぇ~」という寂し気なつぶやきは、聞いているこちらもツラくなるばかり………。注目のエリアなので、区画開発をするためなのか、こんな時期の家賃170%アップは、ただただ驚くばかりです。

 どの業界も先行きが見えない現在、誰もが自分と自社のことを第一優先して考えるときです。ですが、このときふと考えたのは、自分の日常を取り戻すためには、自分を取り巻く環境も取り戻さなければいけない、ということ。

  お気に入りの店、そこが提供する美味しい料理……“自分に最適な日常”を維持するための店やその店の人などをはじめ、周辺環境が大きく変わっていては、最適な日常は戻らないのです。とはいえ、今の自分たちに何ができるのかといえば、「気にかける」「自分たちが協力できることはやる」、それくらいしかできません。

 どんな状況になっても、少しの隙間でいいから、他者を気にかける、そんな気持ちを持ち続けないといけない。それがなくなることが一番さびしいことかも、強く思う週末でした。

 

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