「好きなことを仕事にする」は正解か?不正解か?

COLUMN /

No.205_パターン2.pptx

■ネガティブパワーの影響力の大きさ

 求人コピーではありませんが、「好きなことを仕事にするーー」。これは、正解?もしくは不正解? どちらだと思いますか?

 職業人として経験を重ねてきた人の視点から言うと、それが理想ではありますが・・・、

 「好きなことだけできたらいいんだけどね~」という現実とのギャップを思いつつ、「嫌いなことは続かないよね~」という経験したからこそ言えることもあります。

 好きだと思える仕事を選んだはずが、実際の業務ではそうとも言えないこともやらなければいけないシーンが出てくるのが現実です。

 嫌いなことは自分の能力的に苦手なこと、ということが多いので、パフォーマンスも良いわけがなく、それによってヤル気もそがれてしまうものです。

 ある友人の話。専門職でキャリアを積んだYさんに大手代理店から声がかかりました。人脈もあり、明るく社交的な性格の彼女は、営業関連部署に配属。クライアントとの付き合いやイベントに大活躍!と、周りからは見えていましたが、本人いわく、ここでは“使えない人材”であったとのこと。

 その理由はというと、「数字が入ってくると、まったくダメ」

 よくよく聞いてみると、わかりやすいのが高校の成績で、国語はクラスでトップ、数学はほぼ最下位が3年間続いていたそう。それが極端すぎて、自分でもある種の発達障害なのではないかと思っていたというほどです。

 営業と名の付く部署であれば、売上げや利益etc・・・どうしても数字は必要になるわけで、そこの苦手意識が、本来、好きで得意であるはずのコミュニケーションにまで影響を及ぼしてしまった。その悪いスパイラルに耐えきれず退職に至ったとのことでした。

 こんな話を聞くと、改めて「嫌い!」「できない!」から生まれるネガティブパワーの影響力を痛感します。


嫌いなこと、苦手なことをやらねばならないとき

 できれば避けたいことですが、業務的にどうしても苦手なこと、嫌いなことをやらなければならないとき、どうすればよいかーー?どうすれば、ネガティブパワーの影響を最小限に抑えることできるかーー?

 実際にこの数週間、私もこの苦手なこと、嫌いなことをやらなければいけない状況におかれてしまいました。

 私の苦手なことは、「Excel」。そう表計算ソフトです。

 使える方にとってはこの上なく便利なツール。私にとっては、便利を実感する前に使いこなせないためにストレスがたまるばかりのツールです。

 過去に経験したことがなかったExcelが、ある業務の中心に必要になってしまいました。それだけで気分はブルーになるし、ヤル気はそがれていく一方。使いこなせない自分にイライラしてしまうし、効率的に進まなくてストレスばかりがたまる。

 一番良くないのは、「工夫をして、効率良く」という発想がなくなっていくことです。

 Excelのスキルを高める時間の余裕もなく(時間があっても能力的に無理があったことは否めません・・・)、でも、やらなくてはならないという八方ふさがりの状況。

 結局、どうしたかというと・・・・・・・一人でどうにかしようとすることはきっぱりやめました。そして、人に頼ることにしたのです。

 立場もプライドも横に置いておいて、人に聞く、教えてもらう、お願いするーー。それで少しずつ前進しながら、今もどうにかやっています。

 イラっとしながらも「しょうがないなぁ」と教えてくれる人、困ったときに泣きつける人、そんな人が周りにどれだけいるか。それが仕事にも大きく影響すると、改めて実感しました。

 「好きなことを仕事にする」は正解か?不正解か?の結論はというとーー正解!?

 でも、嫌いなこと、苦手なことをやらなければいけないときは必ずあるので、そのときに頼れる人をどれだけもてるか?それが自分の自信につながり、キャリアに直結する、ということになるのかもしれませんね。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。