人生100年時代、目を背けてはいけない“限りあるもの”とは?

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「生涯現役」とは言っても、現実は?

「~だから、何でも早く進めていきたいーー」。

 親しい女性経営者との打合わせのとき、打ってもなかなか響いてくれない人に対して、彼女が言った言葉でした。少しやりとりをすると誰でも感じる彼女のスピーディな仕事ぶり。性格的に“せっかち”な人は、何事にも早さを求めてくる傾向がありますが、何でも「早く、早く」という人とはちょっと違う気がしていました。

 打合せ後の雑談のとき、人並みはずれてスピーディに仕事をするには、理由があること。「なるほどなぁ」と思うと同時に、40代、50代であれば、改めて自分ごとと感じるようなはっきりした理由を教えてくれました。

 その理由は、ひと言でいうと「人の持っている時間は限られている」から。

 仕事好きな人、中小企業の経営者の方などが、よく「生涯現役」と言います。ですが、それは本人の希望であり、確実性があることは何もありません。「生涯現役」でいたいと思っていても、やる気の問題でなくて、やりたくてもできない状況になってしまうことも多々あります。

 実際に彼女も、自分の身近に起こった出来事から、「生涯現役」がそう簡単にいかないということを身をもって知ったといいます。

 

仕事ができる時間は有限であること

 彼女の叔父様は、ある地方の有力な政治家。選挙が近づいていて、その日も挨拶回りや選挙活動で忙しく過ごしていました。その後、帰宅、就寝。そして、翌朝・・・・・・目覚めたときには、起き上がることもできず、体を動かすこともできず、話すこともできずーー自分でできる唯一のことは、目を動かすことだけ。目の動き以外、体が一切動かない、夜中に本人も想像していないような身体の異変が起きたのです。それから5年――まったくその状態のままご家族の助けで療養しているということでした。

 身近でそんな出来事があったからこそ、人が持っている時間、つまり、第一線で仕事ができる時間は有限であるーー。それを感じながら、日々、仕事をしている。だからこそ、「できることは後回しにしないで、さっさと進めていきたい」と、はっきり言います。

 「限りあるもの」というと、経営者視点では、まず、資金、人材、リソースなどが浮かんでくるでしょう。でも、それは自分自身の周りにあることであり、もっと自覚しなければいけないのは、自分自身が「限りあるもの」であることです。

 人生100年時代といわれますが、周りの方々を見ていると、年齢的にその折り返し地点にくると、「限りあるもの」を改めて深く考える機会があるように見えます。新しい年を前にしたタイミングで、こんな話を聞けたことで、私にも意識変化が生まれました。

 自分自身が「限りあるもの」である自覚。「限りあるもの」であるからこそ、濃厚な中身にしていきたいと、2020年を前に強く思う年末でした。

 今年最後のコラム更新になります。本年もありがとうございました。

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