要注意!見られていないようで見られているのが足元

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 規定で強要されること、無言の強要されること

  ビジネスでは、装い、身だしなみ、対応など、「きちんとしている」ことが求められることが多くあります。

 この「きちんとしている」ことが、女性の場合、ぺたんこの靴はきちんとしていなくて、ヒールのある靴のほうがきちんとしている。だから、〇cm以上のヒールの靴を履きなさい、という社内規定がある企業があるということです。

 ヒールのある靴を強要されることに対して異を唱え、ここ最近、広がりをみせているのが、「#KuToo(クートゥー)」運動です。最近のニュースでもよく採り上げられているので、知っている方も多いでしょう。

 私自身は、「ヒールがある靴を履きたい人は履けばよくて、履きたくない人は履かなければよい。高さを強要される必要はないのでは?」と思っています。

 実際に、ハイヒールを好んで履く人は多くいますし、私自身も誰に強要されたわけでもありませんが、ヒールのない靴よりもヒールの高い靴を多く持っています。この場合は、選ぶ自由がありますが、「#KuToo(クートゥー)」で声を上げた人の状況は違っており、会社から強要(もしくは無言の強要)されているという人たちでした。

 周りの友人たちに話しを聞いてみると、航空、ホテル、百貨店といった接客業界のほか、講師業をしていた友人も「細かい指定があり、それを守らないと仕事に影響があった」、と教えてくれました。

 「ヒールがあるから」「ヒールが高いから」きちんと見えるーー???

 靴にきちんと感を求めるのであれば、ヒールの高さより大事なことがあります。

 

配慮のない場合は強烈なマイナス印象が残る

 「#KuToo(クートゥー)」運動を特集していた記事のなかに、「視線の動きを可視化する装置を使い、人が相手のどこを見て印象を形成しているかを調べる実験をしている」という某研究所の方コメントがありました。

 その方によると、「多くは上半身のみを見て印象を形成している。どんな靴だったかと聞いても、覚えていない人が多い」「足元は印象に残りにくいのに・・・」とのこと。

 でも、私の現場感覚としては、こうは言い切れないと感じます。

 靴を覚えていないのは、きちんと見える最低限の配慮をしている靴だから、です。「靴が汚い」「靴がくたびれている」「靴がキズだらけ」など、配慮のない場合は強烈なマイナスの印象が残ることが多々あります。

 ある社長は、「靴がきたない営業の人とは、仕事をしない!」と言い切っていますし、また、初めて会った人とは、「まずその人の靴を見る」という方もいました。

 目が行くのは上半身でとくに顔周りが中心であるのは確かです。しかし、どんな靴だったかは覚えていないから、ヒールの高さを重要視する、規定する必要がないーー。これでは、きちんと見えるための配慮とは違う軸での話しになってしまいます。

 きれいな靴、問題のない靴であれば、視線は流れてしまうけれど、もし、マイナス要素があれば、そのインパクトは大きく残るはずです。例えば、ヒールのかかとにキズが多い、革がめくれている、かかとが大きく斜めに減っている・・・、見ている人は見ているものです。

 男性もスーツ着用ルールとして、ひも付きの革靴が基本となっています。女性のパンプスと同じように、男性の革靴も相応の圧迫感や窮屈さを感じながら履いているのではないでしょうか。

 数年前、スポーツ庁主導で通勤にスニーカーを履くことが推奨されましたが、通勤で「歩く」ときはもちろんスニーカーでOK。ですが時間、場所、会う相手によって、それを柔軟に変化させることも必要だと考えます。結局は、それが健康的にもコミュニケーション的にも、良い結果につながっていきそうです。

 きちんとした装い、身だしなみとして、靴について規定をするのであれば、それはヒールの高さではありません。

 男女問わず大事なことは、結局は「手入れがされた靴」を履いていること。

 そんな靴は、ヒールの高さより、値段の高さより、ブランドの知名度の高さより、履いている人を格上げしてくれます。間違いなくビジネスでのきちんと感のポイントはここですね。

 

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この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。