2023年『成熟スイッチ』

COLUMN /

No.206_パターン3

■お育ちでなく自分でたどり着くこと 

 一般的にいうと、大人すぎるほど年齢的に歳を重ねた現在、仕事でもプライベートでも、これから目指すべきは「成熟した人」ではないかと改めて思った2023年初です。

 2023年の最初の1冊がこちら。

『成熟スイッチ』林真理子(講談社現代新書) 『成熟スイッチ』

 著者・林さんが日大の理事長就任というタイムリーさもあり、10万部のベストセラー本です。amazonや読書サイトには多数のコメントが並んでいます。それを見ると同じ1冊の感想だけでも、一人ひとりがこんなに違うことに驚きつつ、本自体もさることながら、そこにおもしろさを感じてしまいました。

 今では成熟した人である林さんが、お世話になった編集者から言われたという言葉がありました。昔話としてもインパクトあるこんな言葉をオープンにできるところがスゴイ。

「昔はハヤシさん、距離感がつかめない子で本当にイヤだった」と言われてそう。

 さまざまな要素をあるけれど、人との距離感がつかめることが成熟の一つの条件なのではないでしょうか。そのためには、自分に自信をもつというよりも、「一人で大丈夫」と思える場面が多くなる、ということなのかもしれません。

「育ちが良い」という言葉をよく耳にしますが、もちろん、育った環境や教育に恵まれた人独特の良さはあります。その一方で、軸となる部分さえあれば、「品格ある」「上品な」「知的な」成熟した人には、自分自身の力でたどりつくことが可能だということも、この本の林さんは教えてくれます。


■いつも楽しそうにしていると周りの人をも幸せに

「経験の積み重ねが成熟につながる」ということ。こんな言葉が私にはささりました。

「私が変わらず大事にしているのが、すき間の時間と一人の時間です」

「人間って変われるんだなぁと実感します」

「背伸びなくして成長なし。この言葉を胸に真剣に働き続ける日々です」

「好きな仕事に就けるということは、人生の幸せの八割を得たということ」

・「本を読むと、大人になった時に一人でいることを恐れず済む人間になれます」

「『いつも楽しそう』というのは自分自身はもちろん、家族や周囲の人をも幸せにしてくれる、大切な姿勢ではないでしょうか」

 どれも熟成中の私には、数年後の成熟を目指し心に留めておく言葉ばかりです。

 最近、仕事を通してお会いする方々を通して感じるのは、人生折り返し地点あたりになると、その人柄や嗜好は日常の言動やコミュニケーションから、“いやでも”伝わってくるということ。仕事柄もありますが、これも歳を重ねての経験の積み重ねの結果かもしれません。そのなかで成熟していると思う人には何かしら通じるものがあります。

 自分の思う「成熟した人」とは? それにつながるスイッチを入れたい年です。

 確か林さんの対談か関連記事だったかと思いますが、そこで読んだ「老い」を「成熟」と言い換えれば、歳をとることが怖くなくなるーーという言葉がありました。その思いを強くしてくれた2023の最初の1冊でした。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。