ベンチャー企業No.3が抱えていた“印象ストレス”とは?

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トイレに行くときでさえも自己演出!?

 「トイレに行くときも、見られていることを意識してましたよ。」

 先日、10年ぶりくらいに会った元同僚。当時はベンチャー企業のナンバー3、財務の中枢として、上場を目指して仕事に明け暮れていました。

 その彼も45歳。現在は、ネットビジネスの会社を立ち上げ、一人で数億円の売り上げをあげています。久しぶりに会ったときも、ネットビジネスの裏事情、アマゾンという企業の実態、高パフォーマンスのIT機器、投資の詐欺案件などなど、普段は聞くことができない興味深い話しをたくさん聞かせてくれました。

 その多弁ぶりと、グレーな部分が見え隠れするキャラクターが、当時とはあまりに違っていて、それを本人自らが笑い話にしているのを意外な思いで聞いていました。

 当時の印象は、「まじめ」「几帳面」「融通が利かない」。

 どんなシーンでもポーカーフェイスで、悪く言えば、表情がない。淡々と進めていく仕事ぶりは、派手なパフォーマンスの社長の右腕として、ベンチャーキャピタルからは厚い信頼を得ていました。

 でも、それはナンバー3として、創られた姿だったと、10年以上経った今、本人自らが笑い話にしています。本来の自分とあまりに違う姿を演じることが、仕方ないとは思いつつも、相当なストレスだったともいいます。

 

ギャップがありすぎて大きなストレスに

 ビジネスで求められる役割、本来の自分のキャラクター、そのギャップ……。

 多かれ少なかれ、人の上に立つ立場になれば、本来の自分とは違う部分を創っています。ですが、彼の場合は、そのギャップがあまりに大きすぎて、それが大きなストレスになっていたことを自分でも認めています。

 まさに、印象ストレス、です。

 実際にこの頃は、毎日、飲み歩いていて、自分でも飲みに行くのが好きなんだ、と思っていたとか。ところが、自分の裁量で仕事をしている現在は、まったく飲みに行くこともなくなり、外で飲みたいと思うこともなくなったとか。

 本人曰く、「ストレスを飲みに行くことで紛らわせていた。」

 当時は、会社に行くと、気を抜けるときが一瞬たりともなかった。パソコンに向かっているときも、誰かと話すときも、オフィスの廊下を歩いているときでさえも、常に社員の目を気にして、ナンバー3として、また、会社の風紀委員的な役割として、きちんとした人である印象を与え続けることも仕事の一つだと割り切っていたのだそう。本人もメンタル的に相当きびしかったようで、その頃の紆余曲折を笑い話にしていました。

 当時を思い出しながら、私自身は「そこまで創っていたのか」という思いと、「どっか違和感があったんだよね」という思いが交差したのも事実。本人の割り切れなさとストレスは、どうしても周りに感じさせてしまうのかもしれません。(とくに私の場合は、それに敏感だったから、今の仕事をしているということもありますが……)

 オフィシャルな顔とプライベートな顔は、誰もが少なからず違います。ポジションが上がり、企業の顔となる立場になれば、さらに求められる姿と本来の自分のギャップは出てくるものです。

 とはいえ、印象ストレスを抱えるほどのギャップがあっては、長続きはしない。

 今の仕事をしている私が、この頃の彼と会えたなら、そこまで片意地を張らない、ナンバー3としての印象マネジメントの具体策をどう提案するかをあれこれ考える夜でした。

 

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