結局のところ、記憶に残る企業トップの話とは?

COLUMN /

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テクニック的なことではカバーできないもの

 先日、国内外の企業トップの方々が集まる経営者会議に、仕事で参加しました。世界の名立たる企業トップ方々が登壇され、新たな世界の激動期に生き残る経営手法やビジネスモデルのお話を聞けることは大変貴重な機会でした。

 今の時代、激動期ともいえる経営環境のなか、グローバル視点でのお話しは、どれも大変興味深いものでしたが、ふと、考えてみると、何を話されたかしっかり残る話と、終わった後、そう残らない話があることに改めて気付きました。

 これには、それぞれの個人の専門性や興味の対象による違いは当然あります。

 それを踏まえても、「よかった」と多くの人が感じる話には、何かポイントがあるはずです。それは、話が上手い、上手くない、といったテクニック的なことではありません。

 後々まで印象に残る、それがどんな要素によるものなのでしょうかーーー?

 確実に言えることは、話し方をチェックしてみると、一般的にプレゼンが上手いと言われる方の話が残るわけではありません。逆にプレゼンが上手い方は、話しの流れがスムーズなので、残りやすいとはいえないかもしれません。

 もちろん、話す内容が重要であるのは間違いありませんんが、内容が良ければいいのかというとそれだけでもありません。

 それぞれ自社業種や高い専門性をもっている方々ですが、聴衆者はどういう人々なのか?それを明確に捉えている発言かどうか、さらに、その聴衆者情報を自分の発信につなげるかがポイントだともいえます。

 

「わかりやすく話す」はそう簡単ではない

 一般的にも知られていることですが、業界用語や専門用語を極力控えて、誰にでもわかりやすく話すようにすることは基本です。これを踏まえて、みなさん話しをしているわけですが、わかりやすく話すのはそう簡単ではありません。

 自分自身で簡単と感じることは、相手にとって理解できることばかりではない、ということから始まります。他業種ではわかりにく単語を使うときは、「~~に使う〇〇」「~~と同じ使用用途ですが〇〇は~」と、ひと言説明を加えることも実際はなかなかむずかしいようです。

 ある分野の専門性が高い人に向けた話であれば、その分野を深堀りした内容であり、その独自性が入っていることを望まれるでしょう。参加者の業界も広く、テーマに合った話を求められているのであれば、求められているのは深堀りではなく、いかに引き出しがたくさんあるかを感じさせる水平展開の内容が求められます。

 次々と引き出しを開けていく感覚で、広がっていく話は聞いている側の理解を伴いながら、どんどん話に引き込まれていく感覚が聞いている方自身でもわかるはずです。

 そして、聞いている人が自分ごととして、その話を受け入れられるようなレベル調整をすること。これがとくに重要なことです。

 聴衆者の属性などは事前にわかるものですから、その方々に対して、専門用語は使わない、興味をもつようなことに軸足をふるなど、配慮できることは多くあります。

 この日、インバウンドをテーマにしたJR九州の唐池会長のお話を初めて聞きましたが、ご自身の引き出しを次から次へと開けてお話してくださる内容と等身大のお話しの仕方が、とても好感度が高く、印象に残りました。

 

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この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。