「ガマン」を「できる」に変えられる人、変えられない人

COLUMN /

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延長線でダメならば、違う道で売上げアップ

 今の時期、飲食店の方々の大変な状況は誰もが知るところです。

 それぞれの店舗もこうした状況のなかで、独自の取り組みをして、売上げをあげているという話を報道で目にするたびに、「料理を提供する」から、これまではなかった発想の転換で付加価値をつけているその柔軟性に感心をしました。

 例えば、最近、目にしたのは……

 テイクアウトやデリバリーは広く広がっていますが、料理をデリバリーするのではなく、シェフ自体をデリバリーするというサービスです。

 シェフが家に来てくれて料理を提供するというサービスは、イベントや富裕層向けにはありましたが、こちらのサービスは、あくまでも一般家庭へ、そのお宅のキッチンを使って家族向けに料理をしてくれるというサービスです。

 価格もレストランに行くことを考えたら、割高感を感じない設定になっていました。

 シェフといえば、「食べたければ、店に来い」というどこか“待ち”の姿勢と思いがちでしたが、それを「お宅に伺います」という発想の転換。大変な状況下とはいえ、この柔軟な考えが実行できる人とできないシェフの2タイプがいそうです。

 もう一つは、朝ランチを提供する住宅街のフレンチの店の話でした。

 朝食メニューで6000円という価格でしたが、1カ月先まで予約が埋まっているといいます。

 朝にそんなコース料理は食べないだろう、朝にそんな高価格帯で売れるわけがない、と思いがちです。実際は一人で食べにくる人も多く、「コロナ禍のたまの贅沢として満足度が高い」「朝、気軽に一人で来られるから便利」というコメントがされていました。

 これまで一般的に言われてきたことの延長線上では、新たな売上げは見込めない。時間帯、価格帯を変更しても、成り立っているのは、地元の人気店として信頼があってのものなのでしょう。

 

先の見えないガマンだけでは乗り切れないから

 我が家もご近所に欧米料理の人気店があります。特別な日には、このお店特製の「〇〇スープが食べたい!」という家族からのオーダーがあり、よく利用させてもらっていました。

 今回も誕生日に利用させてもらおうとしたところ、やはり今の時期は営業日も少なく、テイクアウトがメインとのこと。お店を通ったときにのぞいた店内には、お客様は1組だけ。

 顔なじみのオーナーもコロナ禍で振り回されているという今の状況を嘆きつつも、「誕生日には〇〇スープが食べたい!」という声に応えてくれようと、メニューのアレンジをしてくれています。

 私自身も心のどこかで、冷凍食品をあまり好まないように、テイクアウトでは味が落ちる、レストランで食べる気分が出ない、とマイナスなイメージがありました。

 でも今の状況では、行けない、だから今の時期はガマンしようでは、あまりにも先が見えずにストレスがたまるばかりです。ガマンを強いられたばかりの生活には限界があるし、どこかで何かのガス抜きをしないことには、心身の健康上によろしくありません。

 予約の取れないお店も、敷居の高かったお店も、今はテイクアウトばかりでなく、気軽に自宅に届けてくれるサービスも、驚くほど充実しています。

(とんかつの名店の前に、Uber eatsの待合いスペースが常設されていることに驚き!)

 今の時期の誰もがしている“行けないガマン”を、“(持って)来てくれる楽しみ”に変えて、その発想の展開で、このコロナ禍のストレスを乗り切っていきたいですね。

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