創らなければいけないこと、創りすぎてダメなことの大きな違いは?

COLUMN /

blog ひと言 No.49

■「創る」と捉え方が間違えている?

 話をしていると、「創ってない?」という言葉が出てくることがあります。話を大きくしている、という意味もありますが、本来の自分と違ったキャラクターにみせようとして、「自分を創っている」という意味でも使われています。

 イメージコンサルティングや印象マネジメントは、「人をいかに創るか?」が仕事だと思っている人も多いようです。これはある意味、正解ではありますが、「創る」の捉え方が間違っていると感じることが多くあります。

 ビジネスでの印象を考えるうえで、基本に添うだけでは新入社員研修と変わりません。企業を代表するポジションの方向けであれば、その立場やその方の個性を踏まえて、いかに実際にかたちに落とし込んでいくかが重要になります。

 数年前の出来事になりますーー。

 名刺交換をすると、「先週、自分も(イメージコンサルティングを)受けました」という方がいました。この方が受けたコンサルティングとは、服装が主だったようです。そのときは、装いも表情もパリッとした印象を私にも与えていました。「とてもいいですね!」と、私も素直な感想を言うと、ご本人もとてもうれしそうな顔をされていたのが印象的でした。

 その後、少し間があいて、偶然、別の場所でお見かけする機会がありました。まだ1年と経っていないはずなのに、あのパリッとした印象はどこへやら・・・・・・。身のこなしにも表情にもどこか疲れが感じられ冴えない様子。それに加えて、装いはお会いした時と変わらない質のものなのでしょうが、手入れをされていないためヨレっとした感じが出てしまっているのです。

 わかりやすくポイントで言うと、最初にお会いしたときは「80」、偶然、2回目に見かけたときはグンと下がって「40」。この方はもともと「60」くらいのポイントはあったはずですが、最初に良い印象を受けた分、次に会ったときの大幅ダウンは否めず、 “創る前”のご自身よりも下がってしまっています。

■「無理のない」「ありのまま」ではいけないこと

 ここで改めて思ったのは、「80」まで創ったやり方に、少し無理があったのかもしれないということ。好き嫌いの嗜好はもちろんですが、背伸びしすぎた設定をすると、継続に無理が出てくるのです。長く続けられるためには、経済的にも心理的にも設定をもう少し下げる、定期的にチェックをする機会を設けるなど、いろいろな解決法が考えられます。

 こんな話をすると、必ず「無理しないで、自分はありのままでいい」という人が出てきます。プライベートでは、こうした考え方を通していただくのは全く問題ありません。しかし、ビジネスでいうのであれば、これは大きな間違い!です。

 御社に新入社員が入社したら、やり方の違いはありますが社員教育をするでしょう。同じように、企業のトップ、重要ポジション、営業職であるならば・・・・・・その立場に合った「基本」が必要です。そのうえで個性をプラスするのであり、「ありのままの自然体」であってはいけないのです。ここを誤解している人がいますが、間違ってはいけません。

 この創るときに、自分でどうしても「いやだ」と思うことを言われたから、やれと言われたから、やっているという意識があると、こちらも続けることができません。ですので、個人の好みや嗜好を必ず配慮することは、無理のない継続につなげるためです。

 これは装いばかりでなく、SNSなどでの自分の発信にも同じことがいえます。社名を表に出した発信であれば、公人として創ることも必要になってきます。ですが、ここで創りすぎると、どうしても無理が出てきてしまう。創りすぎない、無理のない範囲ですることが自己矛盾をなくす秘訣だと感じます。

 最近、続いているタレントがSNSのアカウント削除も、プライベートの影響が大きいと言われます。タレントとしてイメージは大切なので、本来の自分との乖離が大きくなったことが理由の一つなのかもしれません。

 続けるためには、「自分が違和感のない範囲で創ること」、これが大切です。

 でも、決して「ありのまま」ではいけないのです。これを間違えないようにしてください。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。