論理的な説明にも勝る、効果発揮のために必須なもの

COLUMN /

  blog ひと言 No.14

   「相手に説明をするときには、わかりやすく論理的に話す」。これはビジネスでの基本であり、リーダー層になれば相応の訓練はしてきているでしょう。

  具体的な数字を出しながらロジカルに話せるのが一番ですが、私の専門分野である「印象マネジメント」「イメージ戦略」は、なかなか明確な数字の変化に落とし込めないのが悩ましいところです。  

   実際にコンサルティングを受けていただいた変化として、ここ数年、経営者・経営層の方からは、「過去最高利益をあげた」「売上目標が達成した」という声が続きました。もちろん、実際の利益の数字や売上目標達成額が、印象マネジメントのコンサルティングを実施した結果の数字とは言えません。そんな単純なものではないことは十分に理解しています。  

  とはいえ、事業を拡大していこう、売上げと利益を伸ばしていこうという時期社長自身が前へ出てアピールをしていかなければいけないときに、印象マネジメントをするかしないかで、大きな違いが出るのは確実です。また、こうした波に乗っている時期だからご依頼をくださるのか、乗れそうな時期にご依頼いただいたからうまく乗れたのか。卵が先か、鶏が先かという話しになりますが、とにかく相乗効果が期待できるタイミングがあるのも確実です。

   ビジネスでも影響力が大きい人の印象やイメージは、人それぞれの感覚的なものと思われがちです。決して感覚だけで判断するものではないのですが、それを納得していただくために、その理由をロジカルに説明をすることを求められます。

   コンサルティングのなかで、よく「相手に合わせる」ということをお伝えしています。ビジネスシーンでの服装を例にするならば、自分が好きなもの、自分が気に入っているもの、自分がラクなものを選ぶのではなく、相手ありきのことなので、その相手に合わせることが必要、ということです。また、TPOと言われるように、その場に合わせることも重要です。

   とはいえ、この「相手に合わせる」、だけを重要視している、これも問題なのです。「相手ありき」ではあるけれど、主導権は「自分にある」。簡単に言えば、相手に合わせるといって、自分が「いやだ」と感じることを無理にやっても、まったく意味がないのです。

   「相手に合わせる」と言いながら、「自分がいやなことはやるな」とは、ある意味矛盾しているように聞こえるかもしれません。でも、よく考えてみてください。その分野のプロからの言葉は、もちろん耳を傾けるべきではあります。しかし、強く「いやだ」と感じる他者の言葉を、あなた自身は受け入れられるでしょうか?

 「この人の言うことならば・・・」と思いながら、その場でわかったふりをする、納得した気にはなる、しぶしぶやってはみるけれど・・・・・・結局、その場かぎりであり、自分一人ではやらない、持続しない・・・・・・その結果、まったく変わらない、変化なし、ということになるのです。

   「人は“いやだ”と感じることは、続かない」のです。

  「思い込み」「直感」は違います。ネクタイの色などは、似合わないと思い込んでいたものが、実際には意外にも似合う、ということは多々あります。ご自身の思い込みをコンサルタントの意見で正すことは必要です。

  ですが、その一方で、どんなときもご自身の直感や感覚というものは、何よりも大事にしてもらいたいものです。その場で、口では納得したことを言っていても、言葉にしないご自身の感覚が拒否しているのであれば、心から受け入れることは不可能だからです。

   つまり、その場しのぎの解決策でしかないわけです。いくら論理的な説明に納得しても、ご自身の感度には勝てないのです。   この感覚を大切にすることは、服装選びだけでなく、人選び、タイミング選びにもつながります。

  「なんか引っかかる」「ちょっと気になる」感覚を大事にする―――この感覚を研ぎ澄ますこともトップの重要なスキルの一つだといえるのではないでしょうか。

    私の仕事は、言うことを聞いてもらう、ではありません。腹落ちして、納得してもらうこと。そこからしか、ご自身の変化は生まれないのですから――。   さて、私の言っていること、腹落ちしていただけたでしょうか?    


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。